意思決定
判断と意思決定
■意思決定研究における3つのアプローチ
・大きく分けて2つの立場がある。
①規範的理論
・最適で合理的な選択
②記述的理論
・人が実際にどのような選択を行うか
・もう一つは③処方的理論
・①と②にまたがった理論で、人がよりよい選択をするのに援助する方策の研究
■規範的理論
・物事に対する個人的な望ましさを「効用」と呼ぶ。
・フォン・ノイマンらの「期待効用理論」
・この理論によれば、個々の選択肢の期待効用を計算し、
・期待効用が最大となる選択肢を選ぶ意思決定が合理的。
■決定分析
・期待効用理論に基づいて、意思決定を支援するアプローチ
・意思決定状況をわかりやすく表現するために、
・デジジョンツリーを使用する。
・結果の確率×結果の効用=期待効用
■期待効用理論の侵犯
・人間の判断や意思決定が合理的で筋の通った期待効用理論から逸脱する事例は、
・数多くある。。。
・期待効用理論に反する選択の代表的な事例として
・アレのパラドックスがある。
・アレの選択課題においては、人の意思決定は期待効用理論の公理に反する。
・つまり、人間の意思決定を適切に記述していない。
・カーネマンとトヴァスキーの理論。
・プロスペクトとは、予測や見方といった意味である。
・プロスペクト理論は、期待効用理論があてはまらないような、人間行動における
・数多くの非合理的な選択現象を説明できる。
・人は決定問題を分析し、現在の状況にあたる参照点に基づいて
・意思決定の結果を「利得」か「損失」かに分けて評価する。
☆☆☆
・利得も損失も絶対値が小さいうちは変化に敏感だが、
・利益や損失の絶対値が大きくなると、変化に対して鈍感になる。
・例えば0円と50万円の差の方が、50万円と100万円の差よりも主観的に大きく感じる。
・また、利得領域は、決定はリスク回避傾向がある
・そして損失領域は、リスク志向の傾向がある。
☆☆
・50万円を得した喜びよりも50万円損したくやしさの方度合が大きい。
・価値関数でも、利得領域の曲線の勾配よりも損失領域の勾配の方が大きい。
・これを損失回避と呼ぶ。
☆☆
・フレーミング効果
・理論的には同値であっても、選択肢の表現の違いが選好に影響すること。
・トヴァスキーとカーネマンは期待効果理論では予想できないが、
・プロスペクト理論では予測可能な多くの実験結果を報告している。
■限定合理性と満足化原理
・期待効用理論に従って行動する人間は、すべての選択肢を調べつくすことが
できるような、全知全能で、完全な合理性を持った人間である。
・これに対してサイモンは「現実の人間の認知能力には限界があり、時間や環境からの
制約があるため、完全な合理性ではなく限定合理性しかもちえない」と主張。
・したがって人間の意思決定は、期待効用を最大化する決定を行う最適化ではなく、
・受け入れ可能な「満足化」の原理にしたがうとした。
→カーネマンとトヴァスキーを中心にヒューリスティックスやバイアスに関する
実証的研究が行われた。
■
■問題解決における探索
・ゲシュタルト心理学派によって問題解決の内的表象についての研究はされた。
・しかし解にいたるプロセスの中で「具体的に何が起こっているのか?」についての
・研究はなされていない。
・ニューエルとサイモンらの理論では、問題解決の構成要素には
①初期状態
②目標状態
③中間状態
④オペレータ
があるとのこと。
・こうした概念を用いると、問題解決とは、初期状態から複数のオペレータを順次適用し、中間状態を経由しながら、目標状態に至る道筋を探索することであると定義できる。
・うまく目標状態に至ったとしても、効率的な場合とそうでない場合がある。
・必ず正解が得られるとは限らないが、近似解が期待できる方法を「ヒューリスティック」と呼ぶ。
・ニューエルとサイモンは「手段-目的分析」と呼ばれるヒューリスティックを提案した。
■手段-目的分析とは?
準備中
問題解決①ゲシュタルト心理学
■問題解決とは
・現状と目標との間に何らかの障害があるとき
・目標に到達する方法を見出すことを問題解決という
①課題に必要な情報が問題の中にすべて含まれており、客観的に正しい解が存在する「良定義問題」と
②解決に必要な情報が問題の中にすべて含まれておらず、正しい解が1つに定まらない「不良定義問題」とを区別する必要あり
■問題解決における表象と再構造化
①再構造化と洞察
・ゲシュタルト心理学派は、
・問題を内的にどのように表現しているかと
・その内的表象をどのように再構造化するかといった観点から研究を行った。
・問題の表象を変化させる過程を「再構造化」といい
・問題の解法が突然明らかになることを「洞察」と呼ぶ。
②機能的固着と心構え
・「ろうそく問題」のやつ
・ある特定の機能についての特定の考えを持っていると、
・対象の別の機能を用いることが抑制される。→機能的固着
・機能的固着と類似した概念として「心的構え」がある。
・これは、人が過去の経験に基づいた特定のやり方で反応する傾向である。
③問題表象の転換
・問題提示の仕方によって生じる表象が、問題解決に影響を及ぼすことがある。
意味ネットワークモデル
宣言的記憶は「事実にかかわる知識」
手続き記憶「行為に関する知識」
〇意味ネットワークモデル
・キアリンによって提唱
・階層的なネットワークを構成する基本単位は「ノード」であり
・ノードを連結するのは「リンク」である
・それぞれのリンクは方向性をもち、
・ノード間の結合関係を示すラベルがつけられている
〇コリンズとキリアンの実験
・特定の概念を主語とし、その概念の特性を述語としる文を用いて
・その分が正しいかを問う真偽判断課題を行うように求めた
・例えば①カナリアの独自の特性にかかかわる文
②カナリアの上位概念である鳥にかかわる文
③鳥の上位概念である動物の特性にかかわる文
・実験の結果、仮定された知識構造において、リンクの数が多いほど
・実験参加者の反応時間が長いことが見いだされた。
→モデルの仮説は妥当?
〇意味的関連性
・リップスらの実験(コリンズらの実験を批判↑)
・「犬は哺乳類である」の方が「犬は動物である」よりも
・反応時間が伸びるじゃないか!!!とのこと。
〇活性化拡散モデル
・コリンズとロフタスは批判的な知見を踏まえて
・意味ネットワークモデルに、リンクの意味的関連度と処理過程の概念を加えた
・活性化拡散モデルを提案した。
・それぞれのリンクが意味的操作の過程で
・どれだけ速く辿られるかを示す強度値を有していると仮定し、
・この意味的関連度(リンク強度)を2つのノード間の距離にたとえた。
・コリンズとロフタスにより修正モデルでは、
・意味的走査を、固有の関連度をもつリンクを介して実行される、
・連続的な活性化の拡散とみなしている。
・「活性化する」とは、既存の知識構造において、特定の記憶表象がただちに
・利用可能な状態に変換されたことを意味する。
・そしてある概念を処理すると、
・当該のノードからリンクに沿った連続的なエネルギーの流れが引き起こされ、
・それぞれのリンクの意味的関連度に応じて、近接した概念も活性化されるとし、
・並列的な活性化の拡散としてモデル化した。
生物-心理-社会モデル
個人の発達や身体的、精神的健康に影響する様々な要因を「生物」「心理」「社会」という3つの側面でまとめ、効果的な介入を行う枠組みを「生物-心理-社会モデル」と呼ぶ。
エンゲルさんが提唱した健康理論モデル!
■要素、学問、実践者
〇生物的要因
・細胞や遺伝、神経といった要因が挙げられる。
・これらは神経生理学、薬理学、生化学、分子生物学などの研究の治験に基づき、
・医師、看護師、薬剤師、理学療法士といったスタッフを中心に、
・薬物療法や手術、訓練が行われる。
🐨STはここなんだね~
〇心理的要因
・行動やストレス、信念や感情といった要因が挙げられ
・臨床心理士を代表とする心理の専門家が
・カウンセリングや心理教育を行い
・当事者がストレスとの折り合いをつけられるような方法や
・感情コントロールの仕方を身に着けさせる
〇社会的要因
・ソーシャルサポート、経済状況、ジェンダーや人種、雇用の問題などがある
・保健福祉学や社会福祉学などの理論と方法に基づき
・社会復帰訓練、入院等の各種手続きのサポート、福祉事務所などの公的機関と
当事者をつなぐ役割を担う。